第4章 炎と風
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そんなわけで、只今どこかで拾ってきた魔道四輪の中。
どこかで拾ってきたっていうのは、エルザが持ってきたんだけど、さっき駅で借りてきた奴はご丁寧にもアイゼンバルトの奴らに破壊されちゃって、新しいの使ってます。
「何故だ、何故僕を助ける…」
「街に誰もいないんだもん。クローバーのお医者さんに連れて行ってあげるって言ってんの。感謝しなさいよ。」
「違う。何で助ける。敵だぞ。」
私は思った。こいつ、被害妄想者でしょ。
ぶつぶつ人質だの、交渉だのと明らかにそうだ。ため息をつく私の隣で、ルーシィも同じようなことを思ったらしい。
「…死にてぇなら殺してやろうか。」
「ちょっとグレイ!」
「生き死にだけが決着の全てじゃねぇだろ。もう少し前向いて生きろよ。おめぇら全員さ。」
その場にいた全員に言われたような気がした。その言葉の重さはカゲにも伝わるといいな。
たまにはいいこと言うじゃん。思わず、口元に笑みが浮かんだ。
「なんだよ…」
「別に~。」
突然、横に大きく揺れて体が浮いた。
「エルザ!」
「すまない。大丈夫だ!」
顔をあげるとすぐ目の前にグレイの顔。グレイの瞳に映る自分が見えるほど。
お互いどうしようもできなくて、しばらく止まった。どことなくグレイの顔が赤くなる。
「ごめーん。」
「でけぇケツしてんじゃねぇよ。」
「きーーー!!セクハラよ!グレイこいつ殺して!って…お二人さん、何をしていらっしゃるのかしら…」
「ん?」
「はっ!い、いやこれは…つか、俺の名言チャラにするなよ…」