第1章 妖精の尻尾
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帰り道。マグノリアに帰るにはこの森を通るのが一番早いということで今、道なき道を歩いている。
森という場所は、幼いころから通り慣れている。
呑気に足取り軽く歩いていると人の気配がし、私たちは茂みに隠れた。
「…この匂い…」
鼻につくのは嗅ぎ慣れたどころではない、親しい匂い。ナツ、ハッピー、ルーシィがこちらへ向かってくる。
どうやらナツも気付いたようで突然私たちの隠れている茂みに飛び込んできた。
「誰だコラァ!!」
「うわっ!!」
二人は高く飛び上がると、互いに拳を握りしめる。
「グレイだ!!」
「何でパンツ?!と、申しております。」
「トイレ探してんだよ!!」
「見つける前になんてもん脱いでんだテメェは!!そもそもこんな森にトイレがあるわけねぇ。」
「てめぇこそ人のトイレ邪魔してんじゃねぇぞ!コラ!」
なんて、レベルの低い争い。エミアと私はそろいにそろって地面に突っ伏した。早く止めないと、と脱ぎ棄てられた服を拾う。
白熱する二人の喧嘩は、私が茂みから出てルーシィがあっと声をあげたことで終止符がうたれた。