第1章 妖精の尻尾
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「さっさと終わらせて帰りたいのう…ヴィナ、妾は疲れたぞ…」
エミアはそう言うとペタンと私の頭の上にへばった。
とある小さな町の通りを歩きながら、私もまた早く帰りたくて帰りたくて仕方がない。
「明日とかじゃダメだったの~??」
前を歩く背中に向けて愚痴を連発する。明日じゃダメなのか、そもそもなんで急に出発したのか、帰ってきたばかりで休みたかった、とか。
「うるせぇな、仕事は速い方がいいだろ!?それに、あのエルザが帰ってくる前に、エルザから離れないと…」
「今日帰ってくるとは限らないでしょ。」
振り返り、しまったという顔をするグレイに私は肩を落とした。
「で、仕事の内容は?」
「あぁ、なんかこの辺で賊が暴れてるって噂でよ、それをつぶしてくれって依頼だ。闇ギルドの傘下らしいが、詳しいことは明らかになってねぇ。エミアの目で見つけられたら楽勝なんだが、どうだ?」
「わからんのう。術か何かで隠しておるのか、何も見えぬぞ。ヴィナの鼻でなんとかならんのか。」
「隠されているんならわかんないよ。」