第1章 妖精の尻尾
「ねぇヴィナ~お土産まだぁ~??」
「お土産お土産って図々しい猫ねアンタ。」
「ルーシィに言われたくないよ。報酬報酬ってお金しか興味ない癖に~。」
「家賃の為!仕方ないでしょう!」
くわっとハッピーに牙をむいて怒るルーシィを見てると自然と笑みがこぼれた。ルーシィと視線が合って彼女もまた笑みをこぼす。
エミアは私の代わりに魚を出すとハッピーに渡した。その隣で私の鞄はナツに荒らされている。ルーシィはそれを指さし、驚きに目を開いた。
「あれいいの?勝手に荷物開けちゃってるけど…」
「いいのいいの。いつものことだから。」
「うっはー!!見ろハッピー!!食いもんだ食いもん!!ヴィナ!!貰ってもいいか?!いいよな!!」
何かを見つけたらしいナツの大声に振り返り、いいよーっと言う前にナツは既にそれを食べていた。まぁ、半分ナツの為にあったような物だからいいけれど。
「さてと、仕事行くか~。おーいルーシィ~。」
「あ、待って!」
「何?!ナツの野郎に負けてたまるか!!ヴィナ!俺達も行くぞ!!」
「あ、三人ともエルザが帰ってくるまで待って。」
私がエルザの名を口にした途端、ギルド内がとたんに静まり返った。皆その場を動かずまるで恐怖に縛られているかのよう。
「エ、エルザだと?!んなの待ってられっか!!」
「アイツが帰ってくる前に行くぞ!!」
すぐさま逃げ出そうとするナツのマフラーを掴んで引き留め、私の腕を掴んで無理やり外に出ようとするグレイに必死で抵抗する。しかし、敵うはずもなく…