第4章 炎と風
「ハッピー?」
エミアが声をかけると、今度はハッピーの大声が耳をつんざき視線が映る。
「ルーシィ思い出したよ!」
「何が?」
「来る時言ってたことだよ!!」
「私が変、とか変とかってあれ?」
「これ!」
「それバルゴの鍵?!」
ハッピーが手に持っているのは、金色の鍵。黄道十二門の鍵。
「だめじゃない、勝手に持って来ちゃ」
ルーシィに口を掴まれるハッピー。
そりゃそうだよね、人様の鍵を勝手に持って来ちゃったってことでしょう。
「違うよ!バルゴ本人がルーシィへって。」
「え?!」
「ったく、こんな時にくだんねぇ話してんじゃねぇよ。」
「でも、案外外に出る方法が見つかったりするかもよ。」
「ポジティブ通り越して、アホジティブだろ、お前…」
「バルゴ?……あぁ、あのメイドゴリラ。」
「アホがいた。」
「エバルーが逮捕されたから契約が解除になったんだって。それで、今度はルーシィと契約したいっておいらん家訪ねてきたんだ。」
「あれが来たわけね…嬉しい申し出だけど、今はそれどころじゃないでしょ。脱出方法を考えないと…」
「でも…」
「五月蠅い。猫は黙ってニャーニャー言ってなさい。」
ハッピーのほっぺをつねるルーシィは、エルザとは違う怖さっていうか、笑みが見える。
「こいつも時々怖いな…」
「意外と強ぇんだぜ。」