第3章 3 妖精たちは風の中
ルーシィを背にかばうように立ち構えた。
狭い通路の中、ここで滅竜魔法を使えば必ずエミア達まで飲みこまれる。だとしたら、滅竜魔法を使わなければいい。
「お前が水と氷の魔導師だっていうのは分かってんだ!」
「弱点さえ知ってりゃ楽勝だぜ!」
向かってくる雷を中心とした遠距離攻撃。
スッと息を吐き、自分の下に魔法陣が浮かび上がる。
次の瞬間相手の攻撃は見事に跳ね返り、天井やら壁やらにひびが入った。
「換装、遠雷の衣。」
対雷に特化した衣装を身にまとい、両手には二振りの魔法剣を握りしめる。
「換装?!あれって、エルザの魔法と同じ?!」
「ヴィナは他の魔力をコピーすることができるのじゃ。」
「自分の魔力を変換させることでどんな魔法も自由自在に操れる。それが、ヴィナの三つ目の魔法。失われた魔法、ロストマジックだよ。」
たった二振りで相手は全滅した。
再び換装し、元の丈の短い着物風のスカートと二―ハイブーツに着替える。
「これが、S級の実力…」
「ヴィナ急ごう!ナツ達を見つけなきゃ!」
先へ進むとその先は分かれ道になっていた。どっちに行ったのか、見当もつかない。
だけど、ナツとグレイの匂いは分かる。
「どうするのヴィナ。」
「ルーシィはそっち!私はこっちに行く!それじゃ!」
返事も聞かず私は走る。
エミアも翼(エーラ)で隣をついてくる。もし、私の鼻が合っていれば。