第3章 3 妖精たちは風の中
「すごーい!ちょっと惚れそうー!」
残ったのは気の弱そうな奴ただ一人。
周りに散らばっている仲間を見捨て、そいつは逃げて行った。
「エリゴールのところに向かうかもしれん。追ってくれ。」
「あたしが?」
「頼む!」
「ルーシィ、ヴィナ、行くぞ!」
エミアが先頭を行き、そのあとをついて走る。
ナツとグレイはどこへ行ったのだろう。
確か、二人を追って行った奴らがいたはず。
「来るぞ!」
そう叫んだエミアの声に私は急停止し、背中にルーシィがぶつかった。
その場を動かずにじっと待つ。何も来る気配がない。
「何も来ないじゃない。」
「いや。すぐそこだ。」
エミアの言う通り、匂いが散漫している。
先ほどの奴らの一部か。気配を感じ後ろへ飛び下がるとその場所には土煙と大勢のアイゼンバルトの連中の姿。
「エルザに恐れなして逃げたのか。小心者が。」
「エミア、ハッピー。二人ともルーシィをお願い。」
「あい。」
「ちょっと、この数を一人で?!無茶よ!」