第3章 3 妖精たちは風の中
あの列車が行くのは次の停車駅。オシバナ駅。
「エルザ!飛ばしすぎだぞ!SEプラグが膨張してんじゃねぇか!」
確かにすでに限界を超えてもおかしくないスピードで走っている。
だが、列車に追いつくにはこのぐらい出さなければ追いつかない。私もエルザもそれは重々承知の上だ。
「ララバイが吹かれれば大勢の人が犠牲になる。音色を聴いただけで人の命が奪われてしまうんだぞ!」
「いざって時にお前の魔力が無くなっちまったらどうすんだ!」
「そうなれば棒きれでも持って戦うさ。それにお前やナツ、ヴィナもいるしな。」
口元に笑みを浮かべているエルザからは、信用されているという思いがひしひしと伝わってくる。
不安そうに見上げるエミアに私は笑いかけた。
がたっと音がして隣を見るとナツの上半身が垂れていた。
「ちょっとナツ落ちるわよ!」
「降ろしてくれーー!!」
「あとちょっとじゃ。耐えろナツ。」
エミアの言う通り、高い建物が見え目の前に駅が近いことを示す。
だけど、駅からは黒い煙が上がり、前の広場には人混みが出来て前に進むにも難しい状況だった。