第2章 鎧の魔道師
あたりは人、人、人。列車に追いつけそうなものはない。
同じように列車に乗れば早いけどというと、それでは闇ギルドと同じだということで、頭を抱えている。
「エミア…なにしてんだ?」
「エルザが殴ってくれと言った故に、殴っておるのじゃ。」
ぐりぐりとエルザの頬を押すエミアは、ある意味凄いと思う。
「列車止まればナツ自力で出られるのにね。」
「止まればね。」
「…それだ!」
とたんにエルザが走り出し、慌てて後を追った。
向かった先は、駅員が働く事務所のようなところ。ここにある緊急停止用のレバーをエルザは問答無用で下げた。
「ちょっと困りますよ!緊急レバー勝手に動かしちゃ!」
「仲間の為だ。分かってほしい。」
「無茶言わんで下さい。」
「私たちの荷物をホテルまで頼む。」
「なんで私が…」
ちゃっかりとそういう用事まで押しつけちゃうエルザは、私の中で最強です。まだ入りたてのルーシィにはその光景が気がかりな様子。
「フェアリーテイルの人たちってやっぱ皆こう言う感じなのね…」
「俺は違うぞ。」
「だから服は?!」
「楽しいよね。」
「あんたもよく平気でいられるわね。そして、悪戯はやめなさい。下手したら駅つかえなくなっちゃうから。」
手短にあったハンドルが妙に気になって、こっそり手を伸ばしているのを止められ、大人しく引き下がるが、実は既に落書き程度は澄ませてある。
悪戯の妖精とは、私のことである。