第2章 鎧の魔道師
エルザの話では、オニバスのとある酒場でララバイを見つけたという話を聞いた。だがしかし、封印が施され、カゲと呼ばれている人物が三日以内にエリゴールという人物のもとへ持って帰る、という内容。
「ララバイ…子守唄って意味よね。」
「うむ、封印されているということはかなり強力な魔法だと思われる。」
「そいつらもアイゼンバルトだったのか。」
「そうだ。迂闊にもその時思い出せなかったんだ。エリゴールという名をな。」
闇ギルド、アイゼンバルトのエース。エリゴール。
暗殺系ばかりの依頼を遂行し続けた結果、ついたあだ名は、死神エリゴール。
暗殺以来は評議会の意向で禁止されているが、アイゼンバルトは金を選び、そして六年前に魔導師ギルド連盟を追放。事実解散だが、命令に従わず活動を続けている。
「私帰ろうかな…」
「汁いっぱい出てるよ。」
「汗よ。」
「不覚だった。あの時エリゴールという名に気づいていれば、全員血祭りにして何をする気か白状させたものを!!」
「なるほど。アイゼンバルトはそのララバイで何かしようとしている。どうせ碌でもねぇ事だろうから食い止めたいと。」
「そうだ。ギルド一つ丸ごと相手にする以上、私一人では心もとない。だからお前たちの力を借りた。アイゼンバルトに乗り込むぞ!」
「面白そうだな。」
「乗ってきた!」
「「あい!」」
やる気満々になってきたところに、ルーシィだけは乗り気ではないようだ。
「来るんじゃなかった…」
「ルーシィ、汁。」
「汗よ。」