第2章 鎧の魔道師
「エルザが、帰ってきた!」
とたんに電撃の如く走る衝撃。
よりによってこんな時に、しかもナツとグレイとの喧嘩の最中に。
聞こえたのは、なにか重いものでも歩いているかのような足音。
だんだんそれはギルドに近づいてくる。
その巨大な何かは、小さく地響きを上げ、エルザが帰ってきた。
「今帰った。マスターはおられるか?」
「おかえり。マスターは定例会よ。」
「そうか。」
「エルザさん。そのバカでかいのはなんすか?」
「討伐した魔物の角だ。地元の者が土産にと飾りを施してくれてな。迷惑か?」
エルザにばれない程度に、今度は違う意味で私は二人と顔を寄せ合う。
「これ、あの盗賊の一件ばれてるぜ絶対。なぁ。」
「そ、それいうならナツの方が酷いでしょ。」
「お、俺は何もしてねぇぞ。」
「お前たち!」
一喝するエルザの声に飛び上がる。何が来るか心構えしておかねばならない。
「旅の途中で噂を聞いた。フェアリーテイルがまた問題ばかり起こしているとな。マスターは許しても私は許さんぞ。カナ!なんという格好で飲んでいる!ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸殻が落ちているぞ。ナブ、相変わらずリクエストボードの前をうろうろしているだけか?仕事をしろ!マカオ!…」
「何か言えよ!」
エルザはそこまでいうと盛大にため息をついた。今か今かと待っていた瞬間に備えるべく構えていたものの、そこで途切れたので、私たちは安堵の息をついた。まだ心臓がバクバクしてる。