第1章 妖精の尻尾
「ところで、何の仕事してたの?」
「この近くにある小さな町が盗賊に襲われてるってことだったから、潰してきた。」
「笑顔でなんてこと言うのかしら…っていうか、全滅?!たった二人で?!」
驚きを隠せていないルーシィに私たちは何でもない顔を向ける。何故そんなに驚くのか少々不思議だ。
「あぁ。つっても手ごたえ無かったな。」
「十数人しかおらんかったものな。」
「そんなの一人で充分だろ。なぁ、ハッピー?」
「あい。でも、二人はチーム組んでるんだから仕方ないよ。それで、ヴィナお土産は?」
「あんた、毎回それ聞いてるわけ…?」
「だって、さっきのグレイの変な言い訳はお土産としてはあまりに酷過ぎるよ。」
「何だとコラ!」
些細なことに腹を立てるグレイにナツは速く帰れと口をとがらせる。
「当たり前だ。早く帰んねぇとヤバいからな…」
グレイは立ちあがるとナツに背を向け空を見上げた。それに首をかしげるルーシィ。
「何がヤバいの?」
「…もうすぐエルザが戻ってくる。」
「げっ!」
「エルザってあの?!」
フェアリーテイル最強と言われている魔導師。目を輝かせるルーシィとは裏腹に、ナツとグレイはそろって影を落とす。