第1章 妖精の尻尾
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「そっか、仕事の帰りなんだ。」
「マグノリアに帰るにはこの森突っ切るのが近道だからな。」
「ほーらほらほら!」
「鼻がいいって自慢してたのに、グレイの匂い分かんなかったでしょ?あんた。」
「嗅ぎたくない匂いもあるんだよ。」
「んだこら!」
場所を木々の開けた場所に移し、しばらく休憩することにした。
「まぁまぁ、ハッピーの気持ちも分からなくはないけどさ、そんなとこに突っかかる必要ないでしょ。」
「しかし、あの言い訳はどうかと思うがの。」
エミアの言葉がグレイに刺さる。竿を崖に垂らして釣りをしていたハッピーが振り返り、私を見上げた。