第1章 7月7日
「でも、毎日そんな顔して空見上げンのはやめろよ。」
その声は優しい声だった。
口は悪いけど、
・・・優しい言葉。
そんな風に言ってくれたことが、素直に嬉しかった。
優菜はその声の主に惹かれる。
「君、名前は?」
「ハルキ」
「ハルキくん、ありがと。」
「・・・・。」
「あ、そうだ…私の名前はね。」
「優菜。」
あれ?
「知ってるの?私の事。」
「当たり前だろ。」
当たり前?
お隣さんだからかな?
と、優菜は思う。
雨がますます強くなってきた。
明日も、きっとこのまま雨なのだろう。
織姫様は明日も泣くのだ。
そう、今日悲しんでいたのは別の理由がある。
「今日は特別悲しかったの。」
「なんで?」
と聞いてくる、ハルキくんは素直だ。
なんだか可愛い。
「今日、七夕でしょ。」