第4章 雨上がり
「あたし、もう行かないと。」
母親に返事をして、優菜は雨戸を再び閉めようとする。
「雨戸閉めンの?」
当然のように雨戸に手を掛けたのを見て思わず声を掛ける。
「だって・・・」
急に、優菜は俯いて、小さな声で生活音とか聞こえたりしたら恥ずかしいし・・と言う。
さすがに俺もそれ以上は何も言えなくて、雨戸を一緒に閉めてやろうと手を伸ばす。
カサ・・と音がしてポケットから手紙が落ちた。
「あれ・・その手紙・・・」
「これ?」
くしゃくしゃになったラブレターを見せると、彼女は楽しそうに笑う。
「それ、ダイ先生のだ。」
「先生?」
「ほら、ちょっと前に話した双子の先生の一人だよ。私も、同じ便せんでもらったことがある。」
「ふ~ん・・。」
先生が、なんで俺にこんな手紙を?
首をかしげて手紙を見ていると、慌てて優菜は付け加える。
「ちなみに、二人とも男の先生だからね。」
「・・・・・。・・・・差出人の名前、フジコになってたけど。」
それを聞いて優菜は吹き出して笑った。
「ダイ先生と、ソラ先生の名字、ミネっていうの。」
その双子の男性教師が俺に何をして欲しいのか意図はさっぱり分からなかったが、雨戸をしめ切ってしまうその前にまた彼女が笑ったから、今日のところはそれでいいと思った。
俺はとにかく、女は泣いてるより笑っている方がいいってそう思ってるから。
なんつーんだ?
それが、俺の美学?