• テキストサイズ

おとなりさん

第4章 雨上がり


「おーい、聞いてンの?」

頭の上に置いた手で髪をくしゃくしゃと撫でる。

彼女はまだきょとんとしていた。


「知らなかっただろ?対照的に窓があったなんて。」


「・・・・。」


「しかも、法律ギリギリの50センチの距離に。」


「・・・ウソ・・・」


それだけぽつりといって口を抑える優菜に、今度は春樹がきょとんとする。


「なにが、ウソ・・なの?50センチ?」




「あ・・・あなた・・・誰?」




「は?」

俺は耳を疑う、誰?だって?俺が?


「なにいってんだよ、今さら。」


「は・・ハルキ君・・なの?」


「そうだよ。っていうか今?・・・今それ聞く?」

彼女はじっと口を押さえたまま動かない。


「・・・だって・・・姿、初めてみたし。」

あ。

そうだった。

こっちはおなじみの姿がやっと手の届く範囲に現れただけだったから忘れてた。


「そうだった。・・・あー、えっと。俺が春樹。こないだから君がずっと話ししてたのは、俺。」


「だって、・・・私、まだ心の準備が・・・」


「何の準備だよ。」


「わかんないけど・・・いきなり現れたら、びっくりするよ。」


まぁ、そりゃそうだ。

いきなり目の前にこんな男が現れたらびっくりするだろうね。

「なっ、でも、言った通りだったろ?」


「何が・・?」




「めちゃくちゃ格好よかったろ?」


そういって俺は笑う。

内心、ほっとしていた。


目の前の彼女が、そこでやっと笑ってくれたから。

/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp