第4章 雨上がり
ふふっと、まだ赤い目をした彼女が笑う。
スエット姿のまま、袖口を伸ばして口元を押さえる仕草が単純に可愛いいと春樹は思った。
そこにそれ以上の感情はない。
「よく、分かんない。でも、芸能人の誰かに似てる気がする。」
「分かんないって・・・芸能人は結構色んな人に似てるって言われる。」
「春樹くんのこと、最初小学生かなって思ってたの。」
「小学生!?」
「すごく気軽に話しかけて来たから年下の子なのかなって。」
「つまり馴れ馴れしいガキって思ってた?」
「最初はね。」
思ってたのかよ。と頭の中でがっかりする。確かに、声変りもそろそろ始まるかってところだけど。
小学生はねーだろ。
「あ、でも、話しててすごく楽しかった。」
脳内でぶつぶつ言ってた愚痴も全てその言葉で吹っ飛んだ。
「・・・お前、学校とか取り合えず置いといて、しばらくは楽しいことだけしてればいいと思う。」
「えっ?」
春樹は今日一日学校で起こった事を思い返してみるが、優菜に必要だと思えるものは一つも見つからなかった。
「学校なんて行ったところで意味なんてたいしてない様な気がするしな・・。」
「ありがと・・・。」
その時ちょうど優菜を呼ぶ母親の声がした。