第4章 雨上がり
「私ね・・・今、学校行ってないの。」
春樹は、反射的に声のする方を向く。
・・・会話は続いてる。
何か言わないと、と思う反面、何を言ったらいいのかが分からず固まる。
自問自答・・
正解の回答を頭の中で探していた。
一つでも間違った回答を選ぶと、『終わる』・・・そんな恐怖に駆られる。
誰かに対してここまで気を使うのは初めてのことだった。
結局、間伸びしすぎたことに耐えきれなくなって、
「・・・あぁ・・知ってる。」
と無難な答えを選ぶ。
そして、その言葉は春樹の思っていたよりも幾分かそっけなく彼自身の耳に届いた。
・・・もっと優しく言ってやりたかったのに。
そう悔やむ自分に気づいて・・・・思った。
・・・・あぁ、めんどうくせぇ。
面倒くさい自分自身・・・・いつから俺は積極的に他人に関わっていくような奴になったんだっけか?
誰にどう思われようと、そんなもの関係なかったはずなのに。
・・・・。
・・・・・それでも。
それでも、ここが彼女と俺にとっての分岐点のような気がしたから・・・
・・・俺は神経を研ぎ澄ませて、慎重に未来を作っていこうと懸命になった。