第4章 雨上がり
「もう、大丈夫・・・」
そういう優菜の声を聞いて、春樹は手すりに掛けていた足を戻す。
とっさに屋根を渡って向こうへ行こうと思っていた。
・・何かの発作だろうか?
きっかけは、間違いなく俺が同じ中学といった時だ。
・・・・うかつだった。
身近な人間じゃないと思っていたからこそ、心を許して話に応じていたなんて・・・
そんなこと少し考えれば分かることだったのに。
どうする?
これで俺の事を警戒するかもしれない・・・。
時は巻き戻らないのだ。
もう二度と5分前には戻れない。
この場を修復しなくてはいけないが、何を言ってごまかしてしまえばいいのか春樹は思いつかない。
さっきまで笑っていた2人がもう遠くどこかに消えてしまうように離れて行く。
もう、これで話すこともなくなってしまうのかもしれない・・・
春樹は焦った。