第3章 引力
「なんだよ。俺、言っとくけどめちゃくちゃ格好いいぞ?」
大真面目に答えるその彼の冗談に、あはは、と思わず声に出して笑う。
「・・・そういえば、今日手紙もらったんだ。」
カサカサ・・と紙が擦れる音がする。
「手紙?」
「そう。多分、ラブレター。」
「ラブレター!?すごいじゃん。」
「言ってんじゃん、俺格好いいって。」
優菜はお腹を押さえて笑ってあげる。
「自分で自分の事格好いいって言う人聞いたことないよ?」
「俺の姿見えてないんだろ?だから教えてやってんだよ。」
その言い方から、ニッと少し意地悪く笑う男の子を想像した。
面白いからここはスルーしておこう。
「で、なんでたぶん、ラブレターなの?」
まだ笑いが完全に収まらないままさっき違和感を感じた部分を突っ込んでみた。
「読めないんだ。」
「織姫か彦星かどっちかわかんねーけど、
奴らの涙のせいで、滲んでほとんど読めない。」