第2章 交信開始
真っ直ぐ家に帰ってきてしまった。
自分の部屋に入り、どかっと鞄を床に下ろす。
・・・ったく、なんでこんなに重いんだ。
前の学校では教科書を机に入れっぱなしにしているのが当たり前だったが、今の学校では全て持ち帰ると言う決まりがあった。
なんのために?と疑問に思ったが最後。
春樹の中で答えは出なかった。
理由のないことで疲れるなんてばかばかしい・・。
明日からは全て置いてこよう。
ずっと特に使われていなかった鞄が、窮屈そうにしわを作って真四角に立っていた。
「へんな形・・」
つぶやいてから、その変な形のどこかにあのカラフルな封筒があることを思い出す。
かわいそうな事に、教科書とノートを半分出したあたりでその姿を発見した。
くっきりと半分に折れ曲がったスタイルで。
「しかも、よれてるし。」
一度水にぬれて乾いたせいで紙が波打ってしまっていた。
おまけに泥も一緒に乾いてざらざらとした砂の手触り。
こんな手紙をもらったのは初めてだな。と、冷静な感想。
手に取ったまま、丸めた布団を背にして壁に寄り掛かって座った。
もちろん、南を向いて座る。
正面の窓は全開だ。
まだ明るい。
夕日が落ちて暗くなるまでまだ間があった。
金色のハート型のシールをはずして封を開ける。
便箋は1枚だった。
「・・・・・・・・・。」