第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
家々の影に隠れて細かくは分からないが、恐らくボスが戦車の元にたどり着いたのだろう
右腕が大きく上がり、真下に降り下ろされた
直後、右肘の杭が視界から隠れる
戦車に撃ち付けたのだ
「くっ…」
無茶な真似をしたものだ、と思うのと同時に無事を祈る
リスク過剰の援護とはこういう事を言うのだろう
そのまま少し走ると私達の次、五番目の部隊が戦闘に入っていたのを目にする
つまり交代したと、そういう事か
先の戦車の惨状を見ただろうか、少なくとも杭に貫かれて死ぬのは避けて欲しいと願いつつ私達は大人しく一応の安全圏に下がったのである
その後はとりあえず順調に進んだ
少しずつとは言え一応ダメージを与え続ける事に成功、しかも分かる限り死亡者を出さずにだ
パイルバンカーは強力な武装ではあるものの、やはり攻撃範囲が極端に限定される故腕の軌道から見切りを付ける事は出来る
ならば回避してからのカウンターを中心に…という訳だ
後手に回るが逆を言えばそれだけだ、今の所問題は無い
戦車による援護も度々続いた
誰が操作しているかは分からないが、たまに砲撃をする事がある
その度戦車を破壊されてはいる
一体誰が操作しているか…少し気になるが、その気はむしろボスに回した方が良いと判断し、考えなかった
そのまま三順目―
私達の出番となり、またもボスの前に立つのであった