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SAOGs

第34章 第61層~第70層 その2 "楽しみ"


「あたたた…」

「……っ! 何なの!?」

警告も無しに無理矢理倒したのだ
二人のリアクションも当然だろう

だが、ジンに答える余裕はなかった
即座に得物である両手剣を構え、ダグバを見据える

「俺が時間を稼ぐ。全力で逃げろよ!」

ただそれだけを言って駆ける

「少しだけ相手してやる!」

そのまま同時にかけられる全てのブーストを用いて両手剣を振り下ろす
全力と言って差し支えないそれをダクバは素手で直に抑えた

「つくづくバケモノだな!」

更に力を込めるジン
だがダクバは意に介さず、むしろ押し返していく
押し合いではやはり不利――だが今は時間さえ稼げれば良い
故に切り抜けるにはどうする――その考えを巡らせた

だが――

「割り込み、注意‼」

――唐突にダクバの顔面に質量がぶつかった
片手槌、しかも投擲されている
視線を僅かに向けて確かめる

そこにいたのはクリス
つい今しがた逃げるように言った筈である

「リアナ‼」

クリスが叫んだ直後、ジンの頭上を越える影

「貰った‼」

跳躍したリアナがブーストをかけた突きを繰り出す
ダグバは見えてもいない一撃を首を傾けて回避
そのまま拳を突き上げ、ジンの両手剣を跳ね上げる

「――!」

跳ね上げられた剣の腹にリアナが空中で打ち付けられる
直後、ジンの腹へ蹴りが入れられる
その勢いは苛烈そのものであり、ジンとリアナが吹き飛ぶ

「お前ら――」

「言うのは後で!」

何故逃げない――その言葉を遮ったクリスは二人の前に立ち、盾スキルで障壁を展開させた
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