第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
付いて行った先は食堂二階の端
そこには既に他の五名も揃っていた
「はいはーい、リィちゃんご到着!」
「よし、来たな」
壁際に座っていた少し額の広い男子が立ち上がる
彼こそが私達をこのWBOに招待した張本人、キョウヤ―本名安達恭也
私達の通う高校のコンピューター部部長である
「WBOへようこそ。とまぁプレイヤーの俺が言うのもなんだが、これからまったりと楽しんでいこう」
「廃人にはいつでもなれますからね」
茶々っぽい一言に笑いが上がる
言った本人はユウ―本名田井中佑
同級生且つコンピューター部の男子だ
基本細目ほんわか系の癖して、妙に鋭い
「ってか、一番の廃人候補は他ならぬまったりキョウヤだからな」
「おまっ、ちょ…」
部長を更に追撃するのは部長と同学年のシンジ先輩―本名進藤治朗
コンピューター部副部長でもある
長身痩躯の彼は揚げ足を取る事が多いが、決して悪気を感じない
部長と仲が良いのも、そういう所があるからだろう
「ま、まぁともかくだ!せっかく皆で始めたんだ。皆で協力して、楽しもうぜ」
「そういえば先輩って、初回試作版やったんでしたっけ?」
同期の男子、ケンタこと山崎賢太
同期…というには少年臭さが見える
「まぁそうだな。だから多少は楽になると思う」
「だったら、レクチャーお願いします」
クールに言葉を放つのは同期の女子、エリィこと円藤絵理奈
ショートに纏まった髪、動じなさそうな瞳
しかし、実はかなり人懐っこい
以上七名がこのゲームに会している
「オーケー分かった。必要な事は一通りレクチャーするから、一旦外に出よう」
部長の一言に軽い返事が幾つか返る
その後、食堂「シャンバラ」を出た私達の前には、十分に昇った日があった