第4章 第1層～第10層 その3 "再起"

ムゥが大体消えた所で改めて両手剣男の方を見る

彼の持つ両手剣､そして彼のステータスが私達よりも遥かに速くボスのHPを削っていく
弱点である後ろ足に当ててないにも関わらずだ

｢なんだ…結局前より暴れてるだけか｣

考えが当たった､とも言いたげな声で呟く両手剣男に対し､ボスは更に暴れ具合を見せる
私達に対してやった時よりも遥かに高い跳躍―そのまま､思いっきりのしかかった
しかしそれは､私達にすら着点が明らかな攻撃は両手剣男に対しても変わらず､軽く避けられてしまったのを私達は確認出来た

土埃の中でボスがまた上体を上げる
またあの熱波だ
現状私達はあの熱波に対しては防御を取るしかない
下手に直撃してしまっては命取り､それは彼にとっても同じ事の筈

だが､両手剣男の動きは私達の予想を越えたものだった
熱波が来る直前に脚力にブーストをかけ､跳躍―しかし､それでも熱波に当たる筈
直後､彼は鐘をブーストがかかった状態で蹴り高さを増した

当然､鐘は鳴りムゥのおかわりが来る
何のつもりだ､とか何処からか声が聞こえたが今の私にはムゥがこちらに来ない事を祈り―熱波攻撃､しかも二連続

さっきよりも速いペースでHPが減る
耐えながら､上空を見ると両手剣男―しかもダメージが無いように見える
彼は今､可視状態の波動よりも高い位置にいた
そうかつまり―

(アレは当たる当たらないの目安って訳…)

これも事前情報にないもの
まさか､序盤姿を見せようとしなかったのは､こういう知らない事を見極める為?
身体を支えながら､彼の行動に考えを巡らせていた