第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
ボスが叩いた地面が波打っている
しかもその波は、私達のよく知る海の波の如く向かって来ている
津波レベルでないのが幸いだろう
脚力にブーストをかければ、ジャンプだけで避ける事は出来る
どうやらよりボスに近い側のプレイヤーが早くそこに至ったらしく、後ろにいる私達にヒント、というか答えを与えた事になる
全員がそれを真似し、身体全体でウェーブをやる羽目となった
この間にボスはもう一度、地面を叩いた
第二波…今度は回避だけでなく、攻勢に転じようとするのかジャンプの際に前方に進み、ボスとの距離を詰める
私達も第二波を回避
無事にいったが私達は一つ、失念をしていた
波には少なくとも二種類ある―寄せる波と返す波
引き潮分の波が後ろから来ていたのである
「ッオイ、後ろとかマジか!!」
ケンタが偶然、それに気付いたから回避には成功はした
しかし、急にそんな動作を入れた為、最前の部隊すら攻撃を一瞬中断しなければならなかったのである
そして、ボスはそれを見逃さない
今までと違う動作、上体を上げ、その場で回転しだした
何かと思ったが、次の瞬間に身体で理解した
情報にあった熱波攻撃である
ボスを中心に円形に広がるそれは可視状態の波動を伴い、私達に向かった
波動自体は私達よりも遥かに高い位置であったので当たりはしなかったが、熱波の方はまともに私達に襲いかかった
フードが強くはためく
この熱波、防御姿勢や盾武器スキルすら少し貫通し、ダメージを与えてきている
今はまだそれ程でもないが、これを連続でやられるとかなり辛いかもしれない
ジリ貧とかそういうのはゴメンだ…だからアレを抑えながら確実に大きなダメージを与える方法は―
「なるほど、追い付いて潰せば良い。そういう事だな」
男の声が聞こえる
最近聞いた事のある声はステージ中央の鐘、それを支える枠の上から発されていた