• テキストサイズ

SAOGs

第34章 第61層~第70層 その2 "楽しみ"


結局断る理由も見つからず、諦めたジンはクリスとリアナに付き添う事になった

クエストとは言うものの、内容は至って簡単な回収ミッション
どうやらクリスはこのミッションの報酬が欲しいらしい
鍛冶の材料にするのだろうとジンは考えていた

それだけなら何という事はない――というのも間違いだったとジンは後々思い知る
その原因は他でもないクリスであった

「ねぇねぇリアナ、あそこに変なキノコあるよ。ちょっと取ってみるね」

「お前馬鹿か、ヤバい奴だってさっき言ったばかりだろ」

そう言ってジンはクリスの首根っこを掴んで戻す
しかしまた少しすると――

「あそこに遺跡みたいなのあるから行ってみようよ」

「お前馬鹿か、その道はマップの効かないエリアに繋がってるから行かないって言っただろ」

――と、首根っこをもう一度掴む

そんなやり取りを数回繰り返すだけでジンはボス戦以上の疲労を感じていた

「いやぁ、大助かりだわぁ」

「テメェ……」

唯一味方になりそうなリアナも始めから匙を投げている
後悔すら思う――何故こんな面倒な奴等の相手をしなくてはならないのか
だが同時に、暫く忘れていた騒がしさが頭に浮かんできていた

「……ったく、なんでリアルと同じような事にならなきゃいかねぇんだ」

思い出した感覚から、殆ど無意識にジンはぼやいていた
それは思いの外大きなぼやきだったらしく、二人の同行者が食い付かない筈はなかった

「なになに!? リアルでそういう経験あるの!?」

「うわ、ふしだら」

在り来たりというかなんというか、分かりやすいリアクションの二人にジンは再び溜め息を吐いた

「馬鹿か。妹共がいるってだけだ」

何でもない事――ジンの家族なのだから本人にとってはその程度なのだが、クリスとリアナにとっては違うらしい

「妹だってリアナ、何か禁断な匂いがするね!」

「しかも一人じゃないって辺りにそこはかとない闇を感じるんだけど」

「………好きに言ってろ」

何を言っても面倒だ
そう感じたジンは、説明を諦める事にした
/ 739ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp