第32章 第51層~第60層 その4 "希望への第一歩"
「いやぁ蹴られた時は内臓シェイクじゃ済まない気がしたんだけど、リアナがカバーしてくれたから助かっちゃった」
「べ、別にカバーなんてしてないし」
いつも通りの会話に私は胸を撫で下ろす
「そういう訳で戦線にはいつでも復帰出来る。援護が必要なんだろう?」
「有り体に言えばね。作戦とまではいかないけど、打開策を珍しい奴が思い付いたし」
「うわ、不安」
「リアナ、聞こえてる聞こえてる」
まぁそう思うのも無理はない
事実私も、この妙な感覚を確かめたくて乗っているに過ぎないのだ
「まぁいずれにしろ、暴れて引き付けてりゃいいんだろう?」
「そうだな。まぁ自分飛ばすのくらいテメェ等の手を借りるまでもねぇだろ」
「言ったからには必ず成功。失敗したら殺す」
「馬鹿か、するかよ」
妙に自信有りげなのが鼻につく
殴りたい気持ちをぐっと堪えて、私は改めて口を開いた
「あっそ……それじゃ、スタート」
頭を掻きながらの号令
皆がそれぞれの方向へ向かう中、私は何が引っ掛かったを思い返していた
(逃げる――)
あの馬鹿はそう言っていた
それが正しいとするなら、何から逃げているのだろうか
あの馬鹿に何かあるのだろうか
――考えても仕方ない
今はボスを倒す為に動かなくては