第31章 第51層~第60層 その3 "白い悪魔"
バスクの後にした私は、ネリーにメッセージを送りながら口を開いていた
「どう思う?」
「例の"白い悪魔"とやらか?」
逆に返された質問に頷く
「面白そうなら殺り合ってみてぇが、優先度は騎士団が上だ。同時に出てきたとしてどちらかしか潰せないのなら、俺は騎士団を潰す」
それはそうだろう
生きて現実に帰るにはそれが最短だ
本来なら他にかかずらう暇はない
しかし、放置は放置で何か嫌な予感がする――
どうにもならない妙な感覚を覚える中、ネリーから返ってきたメッセージに目を通す
私の目はその中に記された一文に止まった
『――人に関する情報が少ないって事は忘れられる程取るに足らないか、誰も話したがらないか、話せる人が死んでいるかのどれかよ。止めろとは言わないけど、気を付けなさい』
情報が少ない、話す人がいない、相手は人殺し――
嫌な符合だ
これでは出会った人の殆どが死んでいると言っても良い
本格的に関わらない方が良いのではなかろうか
「オイ――」
どうするか決めかねていた私の隣でトーマが口を開いた
上――乱立するビルの上を見ているトーマ
「怪しいの、ハッケーン」
まさかと思い私も上を見た
多少距離はあるが私にも見える――
白い服の男だった