第31章 第51層~第60層 その3 "白い悪魔"
いきなりの襲撃
そして私には彼女が何の事を言っているのか分からなかった
「私、貴女とは初対面なんだけど――」
少女の片手槌を跳ね上げ距離を取る
だが、少女は再び突っ込んできた
「黙れ‼」
聞く耳持たず――
そんな言葉が頭をよぎる
(ああもう……)
こういう手合は話を聞こうとしない
動きを止めるなり何なりしないと――
少女の真っ直ぐな動きに合わせて、側転するように跳躍――少女の後ろに回り込む
どうやらステータスの差のようだ、それ程苦労はしないだろう
そのまま前方へ深めのステップ――それだけで追い付く
「話は後で聞いてあげるから」
それだけ言って少女の首へ剣の持ち手をぶつける
確実な手応えと共に少女は気絶した
「はあ……」
さて、どうするべきか――
溜め息と共に考え始める
襲撃された事を考えると、関わり合いにならないのが一番だが……
このままフィールドに放置も危険だろうし、何より初対面の私を姉の仇と言った理由が分からない
少なくとも、私は誰かを手にかけた事はないしそうしたいとも思わない
(だったらどうして?)
一瞬悩むが、すぐに止めた
本人に確かめれば話は早い
ロクな目に会いそうにないが、首を突っ込む事にしようと決めた
少女の手だけを縛り、背中におぶって私はフィールドを後にした