第30章 第51層~第60層 その2 "躍進"
弾かれた鎌があらぬ方向へ飛んでいく
タイミングを見付けたクリスとリアナが跳躍――対称の位置からの同時攻撃
「「はあぁぁぁぁ‼」」
二撃が甲羅のような部位に命中――やはり硬いのか動じない
「かったいね、アレ」
「硬いってか効いてないって感じがする」
反転し、着地した二人が攻撃の感触を物語る
仮に身体全体まで効かなかった場合最初の姿に戻るかが疑問だ
だが、やれるだけはやるしかない
そう思うと同時に再び鎌が飛んでくる
不意に思い付いた事を私は行動に移した
ブーストをかけ、飛んできた鎌を剣で弾く
直後に跳躍し、鎌の元へ飛ぶ
やることは一つ――鎌を、蹴る
ブーストをかけた蹴りで更に吹き飛ぶ鎌
それは真っ直ぐに敵の頭に突き刺さった
直後ボスが大きく戦慄いた
それに合わせたかのように空が明るくなり、ボスの形状が始めのものに戻った
「へぇ、よく見付けたじゃん」
トーマが感心したかのような声を上げる
気に留める必要はない
「じゃあエリー、お願い」
「ん、了解」
短い応答の直後、エリーは大きく跳躍
ボスの頭上を越え、反対側の足場に辿り着く
空中で放ったチャクラムが、ボスの身体だけを縛る
そのまま力任せにエリーは糸を引っ張る
それがボスにとって想定外だったのか、空中にいながらにして尻餅をつくように倒れた
(今だ――)
そう直感した私はボスに向けて跳躍する
偶然か、クリスとリアナも跳躍している――目指す先は同じ、ボスだ
「はぁぁぁぁ‼」
「んのぉぉぉぉ‼」
先に飛び出したリアナ
私が追い付く――二人の三刃がボスの頭上と正面から突き刺さる
「クリス‼」
すかさず私はブーストをかけて蹴り込む
リアナの手を掴み蹴った反発で足場へ戻る
そしてボスが跳ばされた先には――クリス
「たあぁぁぁぁ‼」
ブーストのかかった片手槌の一撃――勢い良く降り下ろされ、元々浮かんでいたボスを叩き落とした