第30章 第51層~第60層 その2 "躍進"
甲高い断末魔を上げながら落下していく
破裂した風船の如く散る姿が見えた直後、砕け散った
周囲の景色が迷宮区のものに戻る
終わった――それを実感し、深く息を吐いた
犠牲はない、この事実が私の安心感を生んだ
「まぁ、俺らが暴れてやっただけだがな」
「む、水を差さない」
トーマにツッコミを入れるエリー
二人の言を聞きながらもある程度納得していた
良し悪しはともかく、五十一層のボスを私達オリジナルセブンだけで倒したというのがかなりのステータス上昇に繋がっていたらしい
少なくとも私達に苦労したというような印象が見られないのがその証拠かもしれない
仮に同じ流れを何度も繰り返した場合、ステータスが更に上昇する
それによって他のプレイヤー達との差が開くという事になる
「今回はこれで私達の勝ちです」
それが私達の決めたやり方、と抑えて私は周囲へ口を開いた
「次、いつかは分かりませんがその時は、宜しくお願いします」
ここに、五十二層はクリアされた
翌日私は再びセガール率いる深海凄艦の本拠地を訪れていた
「無事、クリアしたようだな」
正面のセガールは腕を組んだまま口を開いた
「約束通り――」
「あぁ、約束は約束だ。ある程度勝手にやるのも認めるし、聖槍十三騎士団については任せよう」
その言葉を聞いて、僅かに安堵した
今のメンバーを考えれば自由に動ける方が気が楽だ
「聖槍十三騎士団、言ったからには必ず倒せ」
部屋を後にしようとした私の背に、セガールが言葉を投げ掛ける
「……言われなくても、その為に集まったのが私達だから」
振り向かず、私は答えた
長い旅路――新たな局面を迎えていた