第30章 第51層~第60層 その2 "躍進"
少し考えた間を持った上でセガールは続けた
「……理屈の上なら可能だろう。だが、現実的にどうやるつもりだ?」
「アホか、その為に俺らだけでボスを潰すんだろ。わざわざ奴らと因縁があってかつ面白そうなのを集めたんだからよ」
「少人数でボスを倒した騎士団に力で追い付くには、同じ道を通るしかないです」
割り込んだトーマを無視して私は口を開く
「そもそも何故自分達だけで騎士団に挑もうとする、個人的な関係でもあるのか?」
「まぁ、皆確かめたいとか決着をつけたいとか――」
「なら、君はどんな理由で挑むんだ?」
不意にシモンが口を開いた
それまで静かに聞いていただけだった故、呆気に取られてしまった
(私、は……)
何故聖槍十三騎士団に戦いを挑むつもりなのだろう
実力差は歴然としている、まともに戦えるかも分からないのに――
そう考えた瞬間、視界にノイズが走った
夕焼けの海岸
散った筈の背中が影として見える
そしてその先に――
(…黄昏の、女神。皆の…命…魂…)
――そこでノイズが消えた
何なのかは分からない
だが、直前からでは不自然な程に頭の中が繋がった
「私は、ただ…今までの命を無駄にしたくない」
紡げた事はまずそれだけ
ゆっくり息を吸って、吐く――そしてもう一度紡いだ
「私が皆と現実で生きる為には、あの人達が邪魔なんです」