第30章 第51層~第60層 その2 "躍進"
案内の人についていくこと数分――
私達は寺院の上層に辿り着いた
「何だ?」
案内の人がノックを二回した直後、低い声が響く
「リーダー、例のギルドの者らを連れてきました」
「分かった、入れろ」
再び声が響いた後、私達は案内の人が開けたドアの中に入るよう促された
ここまで来て引き下がれない、私達はそれに従い部屋に入った
内部は予想以上に広い
凡そ10人は平気で入るだろう、しかもバルコニーまである
かなり豪華な場所らしい
「来たか」
その部屋の中央にある豪華な長机
その先に主は座っていた
沈黙凄艦のリーダーにして、第一層の戦いにも参加していた男――セガール
「よう、久しぶりだな」
その手前の席には紅蓮団のリーダー、シモン
まさに二大ギルドの頭領が待ち受けていた
「まあ座れ。立ち話をするつもりはない」
促された私達は席につく
尤も、隣の馬鹿は机に足を乗せるという暴挙に出たが
「で、俺らをこんな場所に呼びつけて何だってんだ?」
口火を切った馬鹿に私は溜め息を吐かざるを得ない
「無視して」
「分かった。その男と話すとイライラして堪らないからな」
セガールの言にトーマは鼻で笑う
セガールはそれもまた無視した
「率直に聞くが、聖槍十三騎士団を倒すという話…本気か?」
「……本気です」
「お前達だけでか?」
「私達だけで、です」
見定められるような静寂が、部屋を包んだ