第30章 第51層~第60層 その2 "躍進"
五十一層のボスを私達が倒した
その後すぐに私達の事は広まった
聖槍十三騎士団を倒す――この目的が希望と疑念を生んでいた
それもそうだろう
人数だけで言うなら、私達の方が少ない
それでいてボスを倒し、あまつさえ聖槍十三騎士団を倒すと宣言した
端から見れば無謀で異常な事だろう
故に推し量る必要がある
だから今私はシモン、セガールの両名に呼ばれており、その場へ向かっている
「で、何でアンタがいるわけ?」
投げ掛けた疑問は予期せぬ同行者に向けたもの
「バカかお前? 面白そう以外の何があるってんだ」
返答は粗暴な声、そして意味不明な理由――トーマだ
出かけて数分も経たぬ内にどこからか現れて、勝手についてきたのである
「ついてこないで」
「嫌だね、面白そうなイベントを逃す理由はねぇ」
分かりきった拒絶――もう面倒だ
見切りを付けて、進む事にした
とは言っても移動量は少ない
街の中心まで行って転移、その後目的地まで街を歩くだけだ
つまり、今この男を撒く自信はない
「邪魔だけはしないで」
それだけ言って転移する
指定された場所は第23層――その街中にある寺院、セガール率いる沈黙凄艦の拠点だ
ギルドの名前に艦とあるのに拠点のある場所は天空と言っていい場所にある――ツッコミ待ちなのかと言いたくなる
街中故に警備の類はない
だが、二大ギルドと呼ばれる団体の拠点だ――それ相応に巨大な施設であり、入口らしき部分には人が立っている
「あの…貴方達のリーダーに呼ばれたんだけど」
「ああ、聞いている。案内しよう」
私達も案内に従い、寺院の中へ入っていった