第29章 第51層~第60層 その1 "新生"
「揃った…揃った! 良いねぇ良いねぇ!!」
まるで思い通りと言いたげな声に苛立ちを覚える
力が揃った事とか関係無しにその感覚は生まれた
「これで聖槍十三騎士団を潰す、潰せる。その為にだ、お前ら行くぞ」
更に唐突に場を進めようとする
「勝手に仕切んないで」
「だが俺らには必要だぜ? 十中八九な」
一言言ってやったが無理だ
溜め息を吐いて諦める
トーマはそれを了承と取ったのか口を開き、続きを口にした
「やる事は簡単だ。俺ら七人で五十一層のボスを、潰しちまうのさ」
トーマの言に全員が静まり返る
何を言っているんだ、というような間が僅かに支配する
「何だお前らノリ悪いな」
ややあってトーマは不満気に口を開く
「いや、ノリとかいう問題じゃねぇし」
「ぶっちゃけ意味分かんない」
「普通は人数を集めてからやるものだろう」
「ねぇねぇリアナ、ボスってこの前みたいなのかな?」
「私が知る訳ないでしょ」
三者三様――ならぬ五者五様の言葉
だがトーマはそれをうるさいとばかりに「あーあー」と言い、遮った
「良いか、俺らはあのクソッタレなメルクリウスと聖槍十三騎士団をぶっ潰す為に組んだ訳だろ? それなら聖槍十三騎士団以上の力が必要だ。そういう前提があって、まず奴等は何をした? 宣戦布告か、間引きか? 違うね。奴等が最初にやった事は奴等だけでボスを潰したって事だ」
確かにその通りだ
あの"間引き"のお陰で忘れられているが、始めはボスを彼等だけで倒した事から名を上げたのだ
「って事はだ、少なくとも俺らはそれ以上の真似をせにゃならん。そうでなきゃ奴等を潰せない、そうだろ?」
何かごり押しされそうな雰囲気になる
しかし、反論は誰にも出来なかった
「って訳でだ…行くぜ」
言いくるめられた気がする
しかし、私達は進まなければならなかった