第29章 第51層~第60層 その1 "新生"
連続して複数の方向から攻撃を仕掛け、対象に生じた一点の隙を至近距離もしくは長距離から攻撃する
今まで部長達とやって来たメソッドだ
跳ね上げるような掌底は、ジンを空中へ投げ出す
次の動きをされる前に私はジンを越えるように跳躍――越えたと同時に踵落としを彼に入れる
地上に落下するジン
土埃を巻き上げ、正確な位置は分からないが気にする必要はない
「おおおぉぉぉぉぉ!!」
剣を突き出し、重力に任せ、落下――私自身も土埃の中へ突っ込む
直後、着地の感触が身体に響く
同時に剣が何かに刺さる感覚が伝わる
土埃が晴れる
開けた視界の先、ジンの姿が真下に映る
そして私の剣は――ジンの顔、その真横の地面に突き立っていた
僅かに、彼の頬を削っている
それが彼のHPを削り、半分よりも下へ――
「勝ち、ですよね」
――同時に終了を告げるウインドウが表示される
そこにもまた、私の勝利を示すメッセージが記されていた
「……あぁ、間違いなくお前の勝ちだ」
ややあってジンが口を開いた
「まさかここまでやるとはな。多少発破をかけた自覚はあるが、こうなるとは思わなんだ。まぁともかく、条件は条件だ。お前らの仲間になってやる。宜しく頼むぞ」
そう言えばそうだった
色々頭をよぎったせいで忘れていた
しかし、決まった事は決まった事
仲間になるなら心強い――その意味も込めて、握手を交わした
「カハ…クハハハハハハ!!」
直後、この雰囲気に水を差すかのようなトーマの笑いが響いた