第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
「えっと…どうします?」
まるで予測していない事態に思わず口を開いてしまう
姿はある、だから当然HPは少なくとも1はある
同時に彼は満身創痍だ
そんな人は、放っておけない
「今は一旦切り上げて、彼を街まで届けよう。もしかしたら、知り合いがいるかもしれない」
いなければどうする…という事は今は棚上げしてドリル持ちの少年を街まで連れて行く事にした
この少年は何故、あのような真似をしていたのだろう
そんな事を考えたが、歩き出した後にはそれを安全圏に着いてから考えれば良いと判断した
休憩を取りつつ何人か順番で少年を背負った後、二層の街に戻ってきた
現在ユウの背中にいる彼は相変わらず、目を覚まさない
それから街の中央を拠点に手分けして知り合いを探す事にした
多少街は広いが時間をかけて探せば何とかなるだろう、という適当な思惑は思いの外速く当たった
彼の知り合いという者が次々と集まり、番をしていたユウも多少驚いた程である
もしかしたら、彼等も彼等で探していたのかもしれない
また驚くべき事に、彼等はあのカミナに近しい者達であった
この少年―シモンと言うらしい―もカミナに近しい一人で彼を「アニキ」と呼び慕っていたらしい
それが、一層ボス戦時カミナの死を間近で見てしまった後、ヤケクソの様にフィールドに出ては無謀な戦いを挑むようになったらしい
事の顛末は聞いた…が後は自分達の問題だ、と向こうは言った上私達も何が出来るか、分からなかったので、何だか中途半端に心配したままシモン少年を預け、私達はまた修業に出るのであった