第4章 第1層～第10層 その3 "再起"

｢こっちも忘れないで欲しいな!｣

巨大ムゥの後ろから部長の声が響く
直後､巨大ムゥの背中に数本の矢が刺さる
エリーの矢だ

それにも怯み､狙いを反対側へ移した瞬間―

｢どぉぅらっ!｣

ケンタが振り向き様の巨大ムゥの顔を縦に斬る
思いっ切り直撃だ
余りに楽に入ったので､当のケンタも呆気に取られている

｢はいはいケン､後ろにもいるよ｣

敵に対してよりも呆気に取られたケンタへの注意喚起
ケンタが慌てて退いた先にはユウ､部長

各々､巨大ムゥに対して正面から武器スキルを当てる
更に奥―上からシンジ先輩､正面からミヤ

｢なるほど､これは確かに狩りやすい｣

そう言い､二人も武器スキルを当てる
上空から降り立った直後のシンジ先輩が狙われぬよう､私も武器スキルを発動

｢っ!!｣

単なる袈裟斬り
だが､後ろからという事もあるのか､この巨大ムゥが弱いのかあっという間に残りHPが無くなり､散った


経験値とドロップ品が入った所で漸く警戒を解く
改めて少年の方へ振り返る

｢何だよ…｣

酷い目をしている
声をかけるのは無駄なパターンだ

｢何だよお前ら…あんな奴…俺だけで…｣

そこまで言った所で少年は倒れ込んでしまった

｢ちょ…｣

一瞬HPが無くなったかと焦ったが､そうではなかった
単に…気絶しただけのようだった