第28章 第41層~第50層 その5 "Einsatz"
暗闇の中から意識が浮き上がった
目の前に青い空間――空だ
そこまで来て、漸く仰向けになっている事に私は気付いた
半身起こして、周りを見る
電車のレールが続いていた
地下鉄――どうやら地下には空間があったらしい
つまり、私はまだ生きている
(だったら――)
皆も生きているかもしれない
一縷の希望が、私を立ち上がらせた
皆を探して合流する
取り合えずはそうするしかないだろう
周囲をもう一度見回す
地下鉄の線路が左右に伸びている
見上げた先には穴――ボスの攻撃で開いたものだ
高さから考えて昇っていくよりも地下鉄の駅を探した方が早い
ならばやる事は決まった
地下鉄の線路を伝って駅へ向かいながら皆を探す
その上で地上に出る
これをやれば良い
意を決して、私は地下鉄の暗闇に踏み込んだ
穴の部分を抜けると一気に暗闇が支配する
地下鉄に元々備わっていた電気が薄く点いているだけで、後は何も見えない
目が慣れないと進むのも辛いだろう
実際、躓かぬように足の感触を確かめながら、暫くは進んだ
私の足音だけが辺りに響く
目が徐々に慣れてきたお陰で歩くスピードは上がった
代わりに今だ誰にも会えていない
足音だけが響き、暗闇は更に深くなる
それだけで不安が掻き立てられる
止まれば音が消えるのは分かっている故、歩を進めるしかなかった