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SAOGs

第28章 第41層~第50層 その5 "Einsatz"


「ぇ………」

自分の目が信じられなかった
今さっきまで一緒にいた、今さっきまで手が握られていた

それが今、地面に開いた巨大な穴となってしまった

嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ――

信じられずに手を伸ばす
だが、何かを掴む前に私の身体が浮いた

「クソッタレ!! クソッタレが!!」

ケンタが私を肩に担いで走っていた
同時にボスが動き出した
この時になって、ボスの後方から漸く攻撃が出来ていた
しかし、ボスは全く怯まず真っ直ぐ私達の元へ向かってくる

「畜生、何なんだよアイツは!? 何で止まんねぇだよ!!」

毒づきながらそれでもケンタは駆ける
倒壊したビルを足場に走り続け――

「跳ぶぞ!!」

――三段跳びのように跳躍した

ブーストをかけ、飛距離は十分
だが、予想を遥かに越える穴が、地面に開いていた

「ふざけんなぁ!!」

瞬間、ケンタが私を投げた
自分は届かないが故に私を、私ごときを生かそうというのだ

「ちょ――」

「行けぇ!! そのまま!!」

そうしてケンタも落下――地の底という暗闇に吸い込まれていった

私は地面に激突するように落下
ダメージが身体に入るが、そんな事はどうでも良かった
呆然と目の前の穴を見続ける

誰も、いなくなってしまった
私だけ――たった一人に
そんな絶望が私を支配していたせいか、私の後ろに聳えた影に気付くのに遅れた

前足を振り上げたボス
ああ、私も終わりか――近付く鉤爪を最後の、最期として意識を暗闇に明け渡した








――――――否、そのような結末は、認めない

暗闇の中、僅かにノイズが走った
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