第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
鉱山出口で受け止められて以降、エリーが何故か私の左側にピッタリとくっついている
しかも、歩く道が如何に危険になろうと離れる気配が無い
「ほら、もうすぐ一人分のスペースしかなさそうな道が―」
「関係無い」
遮られた挙げ句、拒否された
落ちる危険性を孕んでも…という事だろうか
「釣った魚は、私のもの」
さいですか
ともかく、細い道になってもエリーが安全に歩けるように配慮しつつ、先頭を歩く部長に着いて行く
ここまで幾つかの分岐があった
何気なく部長の行く道を歩いているが、反対へ行ったらどうなるか―少し気になる
左へ続く分岐へ視線を流す
道幅は太くなっているが、両方が崖となっている
どうやってバランスをとっているのだろうか
その道の先を見ると、また何らかの洞窟、そして―迷宮区
なるほど、この層の迷宮区はあの洞窟から入ると流石の私にも理解出来た
そして私達がこれから挑もうとしているネームドモンスターは迷宮区に行かないルート
迷宮区修行かネームド狩り修行か、選択肢がある訳か
「さぁ皆、もうすぐ鉱山の別エリアに繋がる入り口がある。狙いのネームドはその中にいるから、まぁ気合い入れてこう」
別の入り口に着いた所で部長は口を開く
自分ではそう言っているが気負いを感じさせない部長に続いて中に入る
周囲がまた暗くなり、キラキラと鉱物が光る光景が目に入る
目の前を見ると…アレか…
「デカっ」
思わずミヤがそう漏らす程、今までと比べて大きいムゥであった
大きさが変わっても変わらぬ見た目のネームドモンスター
そのネームドの奥に―
「うおあぁぁぁぁぁぁ!!」
―先客がいた