第27章 第41層~第50層 その4 "転換点"
光の衝撃波が私に届く事はなかった
しかし代わりに、部長がそれを背で受けていた
「部、長…?」
外套が吹き飛び、消滅するのも気付かず目の前の光景に呆けるしかなかった
自分へは何の防御も無く、ただ私を庇い、まさしく身を削っている
そんな姿に、私は言葉を発する事が出来なかった
「キョウヤ!!」
シンジ先輩の叫びが遠い
だが部長には確と聞こえていたようだ
「シンジ――」
確信した声
強い光を灯した瞳
「――頼む」
短い一言――ただそれだけの後、部長の全身が砕け散った
光の衝撃波は"それ"と同時に止まり、私の目の前に光の結晶が舞った
(死ん、だ――?)
誰が――ユウが、ミヤが、部長が―?
(死んだ―――?)
二度と、会えない――?
二度と、言葉を交わせない――?
二度と、触れ合えない――?
「……ぁ…あ、あぁ…」
小さく声が漏れる
だがそれは言葉でも何でもない
背筋が凍り、聴覚と視覚が徐々に――拒絶するように失われ――
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
――叫びと共に、私の意識は塗り変わった