第27章 第41層~第50層 その4 "転換点"
扉の先――瞳に映る景色は広かった
谷のような壁が両脇に真っ直ぐ広がっている
ただ、底が見えない――落ちれば終わり、そんな場所だ
私達を含めた4~50人のプレイヤーは、そんな谷に掛けられた巨大な板の上にいた
まるで誂えたような平べったい橋
ギリギリ両端が地面に着いているから良いものの――
(何…あれ…)
――周りを見て気付いた
上空に赤い光が二つある
対称になっているだろう二つの光の粒
それらゆっくりと、ゆっくりと橋がかかっている脇、橋を橋足らしめる部分に降り立ち―――爆発した
「うわっ!!」
爆発した箇所――橋の両端が消えた事により、橋だったそれは宙吊りの巨大な板と化した
直後、私達プレイヤーの乗る板の周りを、何かが高速で飛んでいた
虫程度の大きさであるそれは、まさに目にも止まらぬ速さで一頻り飛び回り―――
「来るぞ!!」
――巨大化した
幾つかの虫を掛け合わせたようなファンタジーな見た目
記された名は"Baradium"――バラディウム
その名が見えた瞬間、ボスは羽ばたきながら後方に一回転した
その際に発生した突風、突風、突風―――
私達プレイヤーの乗る板は後方に動き、そして前方に戻り出した
それはさながら巨大なブランコ
4~50人の人間を乗せたまま、大きく揺れる
こんな場所で戦うなどと――一瞬ボヤきかけるが、それをグッと抑える
ボヤく前に戦って、生き残る
それが出来なければ意味はない
抜き放った剣を握り締め、ボスと対峙した
場所、そして敵の状態から戦闘は弓を用いるプレイヤーが部隊さながらの状態になり、攻撃の中心になった
私達の中で言うならエリーがそれに値する
高速飛行する敵に狙いを定め、矢を放つ
外れた場合は即座にチャクラムを飛ばし、纏め、ボスに叩き付ける
だがボスも、ただ飛行しているだけではなかった
一瞬の身悶えの後、六枚ある羽根が青く色付く
次の瞬間に現れたのは、まるで行く手を妨げるもの―――多量の杭であった