第27章 第41層~第50層 その4 "転換点"
翌日、私達はボス戦へ向かう列の中にいた
あっさりと見つかった四十九層ボス
ここを越えれば、"半分"という位置に辿り着き、クリアへの勢いが高まる
そのせいもあってか、多くのプレイヤーがやる気に満ちていた
一つの大きな区切り、そこに向かう最後の場所へ歩みを進めていた
結局、鍋をやった効果は分からず仕舞いであった
情報収集に出ていた部長とシンジ先輩によってボス戦への参加を知らされた
一応、静かな食事にはならなかった
多少賑わいはしたが、良かったかどうかは分からない
「オイ」
不意にシンジ先輩の声が響き我に帰る
「前線に出る奴がボーッとしてんな」
「あ…はい」
確かにその通りだ
戦いに行くというのに心ここに在らずでは生き残れない
気持ちを切り替えようと一呼吸置く
しかし、こびりついた汚れのように不安が私の心に残る
「まぁ、キョウヤなら心配すんな。アイツもいい加減落ち着いてきた頃合いだ」
「それって……」
「知り合いが死んだ。狂っちまうには十分な出来事だ。だけどな、いつか落ち着いてくる」
そう語るシンジ先輩の瞳に苦労が垣間見えた
多分、私達の誰よりも部長の力になろうとしていたのだろう
「生き残るって目的は変わらねぇ。そこに弔いと、これ以上死なせるかってのが今はアイツの考えであり、懸ける思いって奴にになったな」
死者は帰らない
だから悼むために、これ以上少なくとも自分の周りでそれを見ない為に――多分それが部長の新たな決意なんだろう
「ま、野郎の考えなんざ語っても仕方ねぇ。生き残るぞ、いいな?」
「………はい」
シンジ先輩の言葉が、静かに私の耳に響く
同時に私達の前―――扉が開き、戦いへと誘っていた