第27章 第41層~第50層 その4 "転換点"
まるで答えが出ないまま、時は経つ
ただそれでも、一人ではないというだけで今の私は幾らか楽になっていた
「ただいま~」
そうした静かな時間が過ぎようとしていた時、食材の買い出しに出ていたミヤとユウが帰ってきた
「おかえり、ミヤ」
いつもの光景
欠片でもそれが見えるのが今は嬉しい
「暗いねぇ。ま、しょうがないけど」
そう言いながらミヤは台所に立ち、今回の戦利品とも言うべき食材をストレージから取り出した
「さぁて、今日は豪勢に鍋にでもしますか」
「細かく調理するのが最近続いたからね。君が面倒に感じるのも分かる」
「違うっちゅーの。皆で鍋をつついて、少しでも雰囲気を変えようっていう私の――」
「はいはい分かった分かった」
漫才のようなミヤとユウの会話に笑みが零れる
「エリーもリィちゃんもやる?」
「ん、やってみる」
「スキルは習得してないけど?」
「いいのいいの。適当に切り刻めば上手くいくから」
ほらほら、と言いながらミヤは私とエリーを台所へ引っ張る
不慣れなのが目に見える結果となるだろうが、今はこの瞬間が楽しかった
例え、すぐ戦いに向かう事になったとしても、私はこの何気無い瞬間に気分を救われた気がしていた