第27章 第41層~第50層 その4 "転換点"
四十五層クリア後、私達は四十六層、四十七層、四十八層と歩を進めていた
しかし、そのスピードは尋常ではない
今まで以上なんて生温い具合での積極的な探索、ボス部屋が見つかれば迷わず参加
そんな状態で私達は四十九層に到達していた
疲労を感じながらも進み続ける
セレナさんが亡くなってから、私達オリジナルセブンは何かが変わってしまった――そんな気がする
続けざまに戦うが故にレベルだとかは向上するも、これまであった"その時の自分達"を読む力を失った、と言って良いかもしれない
まるで、行き急いでいるような――
「ん、私もそう思う」
拠点のリビング、ソファーに座る私の隣にいたエリーが口を開いた
心を読んだのかとでも言いたいタイミングであったが、今はその一言が何となく嬉しかった
「ねぇエリー」
「何?」
口を開いたは良いものの、そこから先が上手く続かない
ただエリーがじっと見ているだけの時間が過ぎる
「私…どうすれば良いのかな?」
「何を?」
「……分からない」
何かがズレてしまった
何かがおかしくなった――それは感じるも、具体的なものが、まだ表現出来ない
同時に、何かしなくては元に戻らない――それは分かるが、どうすれば良いのか分からない
たった一人の犠牲――その重さがどれ程のものか、やっと理解した
重すぎて、受け止める事がやっとだった
「正直、私も何をすれば良くなるか分かんない」
ややあってから、エリーが口を開く
表情に変わりはないが、思う所はあるといった重い口調
「だから、目の前の事をこなすしか出来ない。でも、それにも全力じゃないと生きていけない」
故に苦境なのだ
進んでいるのに進んでいない感覚に襲われてしまうのだ