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SAOGs

第26章 第41層~第50層 その3 "転換点への道標"


響く笑いに男は僅かに戸惑うも、すぐに冷静さを取り戻した
男からしてみれば、目の前の相手が死を前にして狂ったようにしか見えない
戦力的な差や痛みを考えれば当然の事
だからこそ、消さなければならない
"死"を見て狂うしか出来ない"弱い"者を――そうして男は構え直した

その瞬間である――

「ハッハァ!!」

「―――!!」

トーマが瞬時に男の懐に潜り込み、残った左手で男に拳を放った
男の鳩尾に入り、身体を吹き飛ばす

「ハハハハハ!! アハハハハハハハ!!」

次の瞬間にはトーマが吹き飛ぶ男に追い付いていた
そのままもう一度拳を放つ
寸での所で回避出来たものの、拳が穿った地面の欠片が男に降り注ぐ

(何が起きた、コイツ……?)

距離を取る男の疑問も尤もであった
先程と動きも一撃の重さもまるで違う
何より纏う気配が違う
人間が放って良いものではない
これは自身に最大級の危機が迫っている
故に乗り越えるには打ってつけ――そう感じた男がもう一度構え直した
しかし――

「…今は喰わねぇ方が良いか」

――敵を目の前にしてトーマは背を向けた
何を意味しているか、理解が全く追い付かない男に対してトーマは口を開いた

「お前、中々面白ぇから喰うのは後にするわ。じゃあな、次はもっと楽しい感じにしようぜ」

去っていくトーマ
彼が何を言っているのか男にはさっぱり分からなかった
しかし、それは紛れもない異常
故に斬らなければならない、消さなければならない
人が強い人たるには――と、男は一人考えていた
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