第4章 第1層~第10層 その3 "再起"
急速に引っ張られた故に、一瞬息が出来なかった
そのまま数秒引っ張られ―
「おぐっ…!」
阿呆な声を上げてしまった
しかし、そこは地面ではなかった
何処に落ちたのだろうか…
恐る恐る目を開けると―
「リリィの一本釣り」
エリーに受け止められていた
周りには既に先行した全員がいる
それは分かった…それは分かったが…どうなっている?
地に足を付け、普通に立ったが相変わらず唖然とした顔をせざるを得なかった
「チャクラムで引っ張った」
そう言ってエリーの左手に装備されたチャクラムが軽く光を反射する
いや、引っ張ったのは分かった
ここに来て一つの仮説が浮かぶ
先のレール位置や、落ちて現在の位置に着いた事
それらを統合して考えるとまさか…
「普通に落ちれば良かった…?」
ボヤきに近いこの疑問に対して答えたのは部長だった
「いやぁ、まさか下に落ちる前に飛ぶ人がいるとは…中々アクロバティックな真似も面白いね」
やはりそうだったか
笑顔の部長に対して私は深く、深く溜め息を吐くしかなかった