第26章 第41層~第50層 その3 "転換点への道標"
一瞬で後方まで吹き飛ぶトーマ
体勢を直しながら彼は、敵対する男が更に踏み込んで来ているのを理解
空中にいながらトーマは後方へ回転させる
その瞬間、男の刀が空を斬る
身体を回転させなければ、身体を真っ二つにされていただろう
着地と同時に身体を屈める
頭上を横薙ぎに掠める刃――直後に右手でアッパーを撃ち込む
「チッ―」
男の左足が振り上げられるが、至近距離のそれをトーマは左手で無理矢理に掴む
「どぉぉらぁぁ!!」
そのままトーマは振り回すように男を投げた
男の着地と同時に一気に距離を詰める
もう一撃撃ち込もうと拳を繰り出した――が、直後に危機感
次の瞬間、トーマの右腕――肘から先が消えていた
カウンター――攻撃を読んだ攻撃であった
走る激痛を感じるも、構わず左の拳を放つ
だがそれも、正面から手のみで押さえられてしまった
「一撃を撃ち込んだのは見事であった。しかし、やはり貴様の戦いは人のそれではない」
「うっせぇな。どうでもいい事をペラ回してんじゃねぇぞ」
押さえられた左手を払い、トーマは再び距離を取る
動かぬ男はもう一度口を開いた
「この世界は戦いしかない、何をするにもな。故にこの世界での戦いは尊く、強きものだ。それを解さぬ弱き者は、消えてしかるべき」
「どうでもいいっつってんだろぉぉぉ!!」
右腕が実質使えないにも関わらず、真っ直ぐに駆ける
男は動かぬまま――ではなかった
刀を僅かに傾け、面を向ける
瞬間――トーマの視界を光が覆った